ミュージカル「アメリカン・サイコ」書き起こし

 

〈最初に〉

・ネタバレどころの騒ぎではなく、書き起こしです。一応見たことのない方でも話はわかるようになっているはずです。

・なるべく見た方が情景が浮かぶよう、私の主観が入らないよう印象的なセリフをメインに書き起こしています。

・当たり前ですが録画録音したものではなく個人が何度も通って記憶して公演中に必死にメモ取ったものなので間違っている点だらけです。何かあればぜひ教えてください!

 

 

アメリカン・サイコ ストーリー〉

1989年ニューヨーク。ウォール街の投資会社のエリート、パトリック・ベイトマンは、トム・クルーズと同じ高級アパートメントに住み、有名レストランでランチをとり、ジムやエステで美貌を磨く華麗な日々を送っている。投資会社の同僚の関心事は、レストランや女、そして名刺のデザインや誰が優良顧客を獲得するか。

パトリックの婚約者やその女友達も洋服や美容にしか興味がなく、望みは理想の結婚相手を見つけることだけ。しかしパトリックには裏の顔があった。夜は冷酷なシリアルキラー、猟奇的連続殺人犯に変身していたのだ。パトリックは同僚のポール・オーウェンが自分より勝っている気がして、激しいジェラシーを抱く。そして遂に...

(引用元:ミュージカル『アメリカン・サイコ』 | PARCO STAGE -パルコステージ-

 

stage.parco.jp

 

 

 

<キャスト>

・パトリック・ベイトマンー髙木雄也

ジーンー音月桂

・エヴリンー石田ニコル

・プライスー中河内雅貴

・ルイスー原田優一

・コートニーー玉置成実

・ポール・オーウェンー大貫勇輔

 

 

〈表記記号まとめ〉

🎵=曲 ⭐️=シーン 「」=セリフ 『』=歌詞

〜=合間にセリフあり

M●🎵は公演パンフレットの記載に準拠。(歌詞は基本的にAmerican Psycho (Original London Cast Recording)の和訳。)

それ以外の🎵は上記音源より部分的に抜粋、和訳されて使用されているもののうちわかるものを記載。

 

 

 

〜ACT1〜

🎵Morning Routine

・曲と共に開演。スクリーンにはYUPPIEの説明文。[YOUNG,URBAN,PROFESSIONAL.1980年代のアメリカ・ウォール街を中心に暮らす若きエリートたち。彼らは衣食住全てにおいてハイクラスなものを好んだ。それはまさに取り憑かれたようにー]

・主人公パトリックが白ブリーフ一枚で登場。曲に合わせつつTOSHIBAのテレビ、SONYのヘッドホンなどをお気に入りのアイテムを紹介していく。

・「俺は26歳。living in New York City at the end of the century.そしてこれが俺にとってパトリック・ベイトマンであることの全ての意味だ。」

 

 

 

M1🎵SELLING OUT

・続けてSONYのヘッドホン+上半身裸+スラックスで出勤途中のパトリックが歌い上げる。

・血のように見える赤いシミのついたシャツを、ロシア人で酷く英語が訛ってる女性が営むクリーニング屋へ出し、そこで同じマンションのビクトリアと会話する。ビクトリアは何度も訂正するが、彼女の名前をパトリックは覚えない。「電話するよ、サマンサ。約束だ。」

・そして彼はビデオを借りに。お気に入りの「Friday the 13th Part Ⅶ」はすでに借りられていて、「A Nightmare On Elm Street」を「How many nights?」「3泊で。」「You love this movie.もう37回も借りてる。」「Best,見るたびに新しい発見があるんだ。フレディ・クルーガーはいまやアメリカを代表するポップ・アイコンだ。〜ジョニーデップを八つ裂きスプラーッシュ!」

・途中、「72nd Streetだったかな?」Chemical BankのATMに寄り、「ガゼル革の財布が軽くてね。パリッとした50ドル札で1000ドルもらえるかな。キャッシュを待っている間、ふとその扉に残された血赤の落書きに気づく。[ABANDON ALL HOPE YE WHO ENTER HERE. ]ここへ入らんとするものは全ての希望を捨てよ。」

『買うだろ!You bought it,bought it,夢を売り捌け』

 

 

 

M2🎵EVERYBODY WANTS TO RULE THE WORLD

・パトリックの秘書、ジーンの印象的な独唱から場面はパトリックの勤めるPIERCE & PIERCE 社(P&P社)へ。

 

 

 

⭐️Office

・パトリックはスーツで出勤。ジーンは「あなたにしては遅い出勤ですね。」

ジーンと全く中身のない業務連絡ののちパンツスタイルのジーンに対し「あーあと!その服は2度と着るな。ワンピースかスカートにしてくれ。」「この服..お嫌いでしたか?」「C’mon,ジーン。君はもっと美しいはずだ。」「〜それともう一つ。俺はhigh heelsが好きだ」

ジーンは嬉しそうにはける。

 

 

 

🎵Clean

・「Clean」の最後『Rise and shine, don't waste time.〜Flash a smile, bear your teeth, 読まれるなその裏側』のコーラスとともに場面は同僚5人でのmeetingへ。

 

 

 

⭐️The meeting

・終始くだらない話に終わるMeeting。パトリックの同僚、プライスは良き理解者に見えるが口を開けば女の話ばかり。

・同じく同僚のルイスはなんだか不思議な視点で物事にツッコんでいる。

・パトリックは新聞に掲載されていた社会問題を議題に挙げるも誰も興味がなく流されてしまう。「ランチはどこにする?Dorsia?」「No,Fucking way!ランチでさえ2ヶ月待ちだぞ!」〜「Pastelは?Pastelなら顔がきく。」「まあ、悪くはないだろう。Taxi!」

 

 

 

⭐️Pastel

・場面はPastelへ。突然始まるP&P社5人のセクシーランチオーダーシーンののち、ポールとの再会が描かれる。ポールの身につけるものはイケており、更に「フィッシャーのアカウントはあいつが引き継いだらしいな」「Fuck!あいつが?」「落ち着け、たかがアカウントだ。」

・Paulとの挨拶を済ませたパトリックは、「まさにここで俺はとっておきのカードを切る。Guys! my new cards.」

・ほかの4人はパトリックの名刺を褒めるが、ポールは「Sillian Rail?そのフォントは時代遅れだよ。….mine.」

 

 

 

M3🎵CARDS

・男6人でポールの名刺の素晴らしさと名刺のデザインの重要性について歌い踊るナンバー。

『OH BABY BABY  YOU’RE SUCH A CARD 容易く見せてるけどそう簡単じゃない』

 

 

 

⭐️Paul and Patrick

・曲後、ポールとパトリックは2人きりで話し始める。「調子は、調子はどうだポール」

・しかしポールは、「ホーキンスのアカウントは?」「シシリアはどうしたんだ?」とパトリックとマルカスを間違えている様子。「その瞬間わかった。こいつは俺とマルカスを間違えてるって!まあ無理もない。俺とマルカスは同じヘアサロンに行ってるし、職場も仕事も全く同じ。しかしこれだけは言わせてくれ。俺はこいつに名刺を見せたばかりだ!」

・怒りを抑えてポールを食事に誘うパトリック。するとポールはなぜかランチでさえ2ヶ月待ちのDorsiaの予約を取ってくれると言う。「行けるものならぜひ!いやFuuuuuuck!!!! やっぱり行けない…」

・もともと予定されていたエヴリンの家で行われるパトリックのバースデーパーティにポールを誘うパトリック。「エヴリン・ウィリアムス、彼女はエロい女だ。」「そうかあ?」「残念ながら彼女はクソみたいな男と付き合ってる。奴の名は、パトリック・ベイトマン」「のこぎりで首を切り落としたら、笑うのをやめてくれるだろうか?」

・ポールが去った後、ポールと自分を比較するパトリック。「ポール・オーウェンのビジネス・カード。俺のより上等。奴にはDorsiaの予約が取れて、俺には取れない。奴はフィッシャーのアカウントまで手に入れた!俺は26歳で何を!何を手に入れた….」

 

 

 

⭐️Everin's room

M4🎵YOU ARE WHAT YOU WEAR

・場面は一気に転換。エヴリンとコートニーによるナンバーとともにパトリックのバースデーパーティへ。

・パトリックが突然ポールを誘ったことに対し、エヴリンは「奇数なんて絶対にあり得ない!」と言い、秘書のジーンを連れていくことになる。「もういい!俺がジーンを連れて行く。ジーン!あとひとり必要なんだ。Will you come with me?」「でも、何を着れば…」「今着てる服で許容範囲だ。」

・パトリックは到着するも、怒っているエヴリンを無視してコートニーの元へ。エヴリンはエヴリンでプライスと話しており、なんだか不穏な雰囲気。

・エヴリンはパトリックを許すことにしたが、パトリックはポールが気になって仕方ない様子。「He is Rich!」「みんなお金持ちよ」「He is good looking!」「みんなイケメンよ」「He has great body!」「みんないい体」「それにポールは..こんな名刺まで持ってるんだ!」

・ポールが話すことがいちいち気に入らないパトリックはまたも社会問題について話そうとするが...

 

 

 

M5🎵HAPPY BIRTHDAY

・ハッピーバースデーの曲と共にケーキが登場。

・みんなが歌ってお祝いしてくれるものの、パトリックは浮かない顔をしている。『Happy Birthday to you,Happy Birthday to you!How old are you?』「今日で、俺は27歳…..」

・エヴリンがケーキを持ち、ポールもお祝いを伝えてくれるが、パトリックの心の声は止まらない。「キャンドルを消して、マルケス」「こいつらにとって俺はゴーストだ」「Make a wish」「俺は受け入れられたい、この世界に….」

・そしてパトリックはロウソクを子供のように吹き消し、ケーキを持っていたナイフでめちゃくちゃにしてしまう。

・エヴリンがなんとか事態を回収するも、後を追ってきたパトリックに激怒。「You're Monster!」

・落ち込むパトリックをクラブのTunnelに誘うプライス。「OK!まだ帰るには早い!Tunnelなんてどうだ?」

 

 

 

⭐️Taxi

・Tunnelに向かうTaxiで彼女と別れたことをパトリックに話すプライス。それに対しパトリックは、「お前がエヴリンとファックしてるのを俺が知らないとでも?」

・窓から見えるハドソン川に孤独を煽られ「ハドソン川が俺たちを追い越して行く..暗い、永遠の深淵…まるで三途の川だ.....Faster!Go faster!」「どうしたベイトマンステロイド?もうやめたんじゃないのか」「ステロイドのせいじゃない、…世界が、何もかもが俺を追い越して行く!!」

・運転席を蹴ったり暴れまくるパトリックだが、なんとかTaxiはTunnelへ。「実存的な恐怖が俺に忍び寄る、感じるんだ、Tunnnelに着くと…〜踊ったりなんかして!」

 

 

⭐️Tunnel

M6🎵TRUE FAITH

・踊ったりバーの店員と絡んで楽しんでいると、プライスが白い粉を手に入れる。仲良く吸う2人だが、パトリックは不満な様子で「これじゃ人工甘味料だ!」「うーんまあ最高とはいえないけど量をやればイケるだろ」「本当にハイになりたいんだ!シュガーハイじゃなくて!」

・様子のおかしいベイトマンに尋ねるプライス。「What’s your fucking problem?」〜「世界は狂ってる!なのに俺たちの体は狂気に順応し始めてるんだ!これが普通になり始めてる…」

 

 

M7🎵KILLING TIME

・パトリックとポールが伸びやかに歌い、クラブのダンサーとめちゃくちゃに踊るナンバー。

・最後、「もういい、グッバイ!!」と暗闇に消えるパトリックとパトリックを追いかけるポール。

 

 

M8🎵IN THE AIR TONIGHT

・2人が消えた後、クラブのダンサーがどことなく登場し歌い始めるが、静寂に包まれた異様な雰囲気が終始漂う。

・曲途中から黒いコートに黒い手袋をつけたパトリックが登場。

 

 

⭐️Homeless

・曲が終わると1人のホームレスが登場する。

・パトリックはホームレスに話しかける。「Hello.I’m Patrick Bateman,Pat Bateman.What’s your name?」

・うまく名前も答えられないホームレス。パトリックは10ドルをホームレスに見せ、床に置く。「….Ann?? Did you say?? まあいい、金が欲しいのか、それとも食い物。…10 dollars.これがあんたの欲しいもの?」「I’m so hungry..」「それに寒いよなあ….」

・床に置いた10ドルを御礼を言って拾おうとするホームレスの目の前で踏みつける。「…ならなんで仕事につかないんだ?そんなに腹が減ってて寒いのなら、仕事につけばいい」「Lost my job!」「なんで失業したんだ?インサイダー取引?...No,that was a joke.Now, Listen to me,ちゃんと仕事してる人間から金を横取りするのはフェアだと思うか?」「What can I do !?」「自分でもわかってるんじゃないか?その消極的な姿勢。だが朗報だ。I help you. 」

・再度10ドルから足をどかしホームレスに拾わせる。御礼を言って拾ったホームレスに詰め寄るパトリック。「お前自分がどれだけ匂うかわかるか?悪臭…くそみたいな匂いだ」「I’m…I’m so sorry..」「俺もすまない、アン。ただ俺は何一つお前と共通するものがない!!!」

・そう言い放つと胸元から出したナイフでホームレスを滅多刺しにし、そのまま舞台は暗転する。

 

 

 

M9🎵HARD BODY

・一転、曲と共に美人なトレーナーとパトリックの同僚がジムで筋トレに勤しんでいるシーンが展開される。舞台下段ではそれぞれが筋トレに勤しんでいる。

・舞台上段、曲後半より登場するパトリックはコートニーとセックス後。「今日はこの後は?どんな予定?」「ジム、ワーク、夜はエヴリンと観劇。」「なに見るの?」「ホームレスの少女が出てくる…髪がゴワゴワの…」「それってもしかして、レミゼ?」

・エヴリンの親友であり、ルイスが疑い始めていることから関係の終わりを切り出すコートニー。「私エヴリンのBest Friendだし…それにルイスが疑い始めてる。」「ルイスは..」「ゲイって言わないで!!!!」「ダサいって言おうとしたんだ。おまけにバカ。」

・終わりを告げるコートニーに不思議な質問を続けるパトリック。「やった女全員にアンケートを取ってるんだけど、キミを興奮させてたのは俺の筋肉?それとも俺のペニスの重厚感?」

・質問に答えつつ、この後の関係が気まずくなることを心配するコートニー。「私たち、気まずい関係にならないといいんだけど…友達に戻れたらいいなって」「キミは美しい。But,セックスをしないきみは、うんこだ。」「Fuck you! ass hole!」「うんこだ。」

 

 

 

⭐️GYM

・舞台下段まで降りてきたパトリックもGYMのトレーニングに合流。相変わらずトレーナーのスタイルについてなどくだらない会話をしている。

・サウナに向かう同僚たちを置いて、パトリックはひとりその場に残り、ルイスに対しての殺意を告白する。「Question!ここでルイスを締め殺したら、すべて台無しになる?それとも世界はもっと安全で優しい場所になる?事実、それが俺の望む世界だ。ってことは、殺していいよな。」

・ジムでオイルを塗っているルイスの首を後ろから絞めて殺そうとするが、逆にルイスから迫られて逃げ出すパトリック。

・パトリックを追いかけるルイスだが、置いて行かれてしまう。

 

 

 

M9A🎵 YOU ARE WHAT YOU WEAR(REPRISE1)

・曲はレミゼ用にアレンジされ、それとともに場面が転換。レミゼのコスプレをしたダンサーが印象的。『チケット高い、でも買う 寝落ちに気をつけて

 

 

⭐️Les Misérables

・パトリックとエヴリンはレミゼの観劇へ。パトリックは立ち上がって拍手し痛く感激している様子。

・秘書のジーンも訪れており、手を振りあうジーンとパトリック。

・一方のエヴリンは不満そうに、「Mmmmmmmm.....Where were you last night?何度も電話したのにFrom Hotel Carlyle…」

・隣のマンションで若い女の殺人があったのでホテルに避難しており、電話をかけたが繋がらなかったと不満そうなエヴリンに、パトリックは「きみのお隣さんの首を冷凍庫に入れてた。」

・きちんと答えないパトリックに苛立ちを覚えながらも、今後の2人について語りたいというエヴリン。

 

 

 

M10🎵IF WE GET MARRIED

・エヴリン、ジーン、パトリックがそれぞれの想いを歌うナンバー。

・エヴリンは結婚に対する夢を、パトリックはエヴリンを殺す夢を、ジーンはパトリックとの結婚についてそれぞれ想いを巡らせる。

 

 

・曲が終わっても結婚に煮え切らないパトリック。「んんー、エヴリン、どうだろう」「じゃあどうするつもり?あなたが30になるまで待てっての?!」「うーん..まだ60ドルのボクサーパンツを履いてるくらいだからな。」「しんじらんない!!!マジつまんない!!!!〜〜今夜もしホテルから電話したら......めちゃんこ怒ってるから多分しないけど.......絶対出なさいよ!!!!!」

・しかしパトリックはエヴリンを追いかけずその場に残り、「エヴリンが死んでくれたら、色んな意味で俺の人生はずっと楽になるんだけど…俺は彼女の後を追わない。特に理由はない。ただ世界が、俺の世界がそうさせる。」

 

 

 

⭐️Limousine

・ひとりリムジンに乗り込むと行き先を告げるパトリック。「The Meatpacking District.」

・歩いている娼婦(クリスティーン)を拾い、自宅へ連れ帰ることに。「俺はポール、ポールオーウェンだ。」

 

 

 

M10A🎵 IN THE AIR TONIGHT(REPRISE)

・娼婦(クリスティーンとサブリナ)が歌い上げる曲と共に場面は自宅へと転換。

 

 

 

⭐️Patrick's room

・自宅ではサブリナがすでにシャワーを浴びて待っていた。

・パトリックは2人に自分について話し始める。オニカの絵や家賃についてシャルドネを飲ませながら2人に語り、「さて、僕が何の仕事をしてるか興味ある?」「モデル?」「No,嬉しいけど、モデルではない。ウォールストリートで働いてるんだ。ピアースアンドピアース。聞いたことある?」「Sure!靴屋さんよね?」「投資銀行だ。」「そこで何してるの?」「主に殺人と処刑かな。場合による」〜「つまり僕が言ったのは…….忘れた、Let’s get Started。」

 

 

 

M11🎵NOT A COMMON MAN

・パトリックが歌い、サブリナ、クリスティーンが絡み合うセクシーなナンバー。

・曲中にブリーフ一枚になるパトリック。『足りない、なにも』『普通じゃない、俺は』『存在しない、何者でもない』

 

 

 

⭐️X’mas

・なぜかパトリックはブリーフ一枚のままOfficeへ出勤し、ジーンと鉢合わせる。

・動揺するジーンからクリスマスカードの話題、そしてクリスマスの話題へ。

・クリスマスにまた妹とレミゼを見にいくと言うジーンと、レミゼの良さについて語り合うパトリック。

・パトリックは家族とエヴリンとクリスマスパーティーをする予定。「このあいだBlooming dalesで買い物してる時、ふとよぎったんだ。自分の存在意義について。わからないけど、今年もそう言うシーズンがきたってことかな」

ジーンは更にパトリックにクリスマスプレゼントを渡すが、ジーンが去った後プレゼントをデスクに放り投げてパトリックは独白する。「ホリデーシーズンはおれにとっては厄介な時期だ。だから毎日Silent Night,Deadly Nightを見て自分を鼓舞する。斧を振り回すサンタクロース!!アップルサイダーに大量のドラッグとアルコールを混ぜれば悲鳴をあげずに見られる。そして自宅をクリスマスイブのどんちゃん騒ぎの大虐殺に備える。誰をやるかはまだわからない。自分へのクリスマスプレゼントと言ったところだ。」

 

 

 

⭐️X’mas Party

M12🎵MISTLETOE ALERT

・曲と共にクリスマスパーティーがスタート。最初はエヴリンの楽しそうなパートから始まるが、パトリックが登場しパートが始まると途端に曲は物騒な方向へと走り始める。『その首 洗えよ』『殺したくて殺したくて!』

 

・曲が終わってもずっと挙動のおかしいパトリックに、同僚が声をかける。「1人でハイになってどーする!俺たちにも分けろよ」「どちらかといえばローだな...色々やりすぎてパニック!この欲望をどこに….」

・パトリックが誰を殺すか思案していると、ポールオーウェンが現れる。「マルカス!」「ポール!」〜「休暇のために店じまいをしてきた。最後のミーティングを終えて、今ここに。」〜「ここは退屈だ、マルカス。どこか場所を変えないか?今日こそ行くか、Dorsia。」〜「でもその前に一杯やらないか?At my appartment…」

 

 

 

M13🎵HIP TO BE SQUARE

・音楽に合わせ、パトリックの自宅で酔っぱらってノリノリで踊るパトリックとポールが登場。

・この曲の素晴らしさについて語るパトリックだが、ポールは途中気持ち悪くて吐いてしまう。「俺、思ったより酔ってるわ。」「きみの酒にレイプドラッグを入れといたからな!」「あぁ、だからふわふわしてるのかあ...」

・一旦捌けるとレインコートを着て登場するパトリック。「イェールクラブのトイレでしょんべんしてるとき、壁にあった目の前にある蜘蛛の巣みたいにほそーいひび割れをじっと見てたんだ。そして考えた。もし俺が体を小さくしてこのひび割れの中に消えたとしても、かなりの確率で誰も俺が消えたことに気がつかない。誰も俺を気にしない。その時この真実に気が付いてしまったんだよ、ポール。よりよい世界にするために減らすべき人間がいる。人と人とがみんな繋がっているわけじゃない。世の中には必要のない人間がいる。」

・室内でレインコートを着るパトリックに疑問を抱くも酔っていてすぃ嬢な判断ができないポール。更に自宅の床には新聞が敷き詰められていることに気がつく。「マーカス、〜これ、犬用か?」「No,no,no🎵」

・ついにオノを持ちウキウキのパトリックが登場。「本当はルイスかコートニーかエヴリンをやるためにやったんだ。But….予定が変わった。」

・そしてビデオを設置すると、「俺本当に頭がイカれてるんだよ、ポール!女をバラバラにするのが好きなんだ。」〜「俺たちは2人とも27歳。Did you know that? Paul………」

・HIP TO BE SQUAREが大音量で流れる中パトリックは斧でポールを何度も襲い、ACT1は終了する。

 

 

 

 

 

 

〜ACT2〜

⭐️Clean (🎵Clean)

・血まみれのレインコートを着たパトリックによる🎵Cleanの冒頭の和訳どおりの語りからスタート。「ポールオーウェンは死ぬのに5分かかった。そこから血が止まるまで30分。俺のロレックスデイトナで測ったから間違いない。」

・パトリックはポールを殺したのちに血まみれのレインコートを着たままアッパーイーストサイドのポールの家へ。彼の鍵で部屋に入り、アリバイのためにポールは出張に行ったことにする。「ポールをどこに出張させようか?Rome, Amsterdam, Phoenix...London!」

・ポールの声とパトリックの声は似ているので、パトリックは似せて留守番電話を残すことにする。「Hi,This is Paul Owen.電話に出られなくてI’m so Sorry.フィッシャーのアカウントをNext Levelにするために、2週間ほどロンドンに。」

・その後自宅へ戻り、ポールの遺体を寝袋につめ、呼んでいた車で匿名でヘルズキッチンに借りているアパートへ。遺体とレインコートをを浴槽に入れ、石灰をかけ、「溶けて正体不明になるのをじっと見守る。」

・誰にも見られていないことにホッとしながら自宅へ帰る。そのエレベーターで.....

 

 

 

⭐️Elevator

・同じマンションに住むトムクルーズと鉢合わせる。

トムクルーズにファンと伝えるが、いまいちファン心も感じられず不思議な会話を繰り広げるパトリック。

 

トムクルーズと分かれた後、パトリックのさらなる独白が始まる。「DecembarはいつのまにかJanuaryになりFebruaryになり、そしてMarchが忍び寄る。ポールを殺すことで殺人への欲求はおさまるかと思ったが、人体解剖に対する夢は留まることを知らない!血の惨劇への渇望が Every night 俺をかき立てる。」

 

 

 

M15🎵KILLING SPREE

・セリフからそのまま曲へと突入。マイクを持ったパトリックがノリノリで娼婦や男たちを殺して殺して殺しまくる。

・ナイフ、チェンソー、ライフルで人を切りまくり撃ちまくりとやりたい放題。

・途中娼婦と同じ格好をしたエヴリンが登場するが、曲中でパトリックはエヴリンを殺せずに終わる。

 

 

 

⭐️Office

・パトリックはチェンソーを持ったまま、曲終わりにジーンが登場。場面はOfficeへ切り替わり、ジーンはチェンソーには特に言及することなく用件を話し始める。「パトリック!」「ジーン、ジーン、ジーン、ジーン、ジーン!!How are you?なんて素敵なスカートを履いてるんだ!」「お母様がいらしてます。ランチの約束では?」「キャンセル!」「そんな、お母様ですよ。もういらしてますし..」「無理だよ2時間も2人きりなんて!」「私も行きます!」

 

 

 

⭐️Central Park

・母、ジーン、パトリックで食事をした後、3人はセントラルパークで散歩をする。「ねえダーリン、この子と結婚したら少しは不幸じゃなくなるんじゃない?」「僕は不幸じゃないよ、マム!それにジーンは、僕みたいな男とは絶対に結婚しないんだ。そうだろ、ジーン?」「....」

 

 

 

M16🎵NICE THOUGHT

・パトリックの子供時代と結婚に想いを馳せる母とジーンによるナンバー。

ジーンの恋心と、パトリックを理解したいと言う思いが感じられるが、曲の最後はパトリックの独白で終わる。「その後、自分のデスクに戻って、何か、何でもいいから幼い頃のことを思い出そうとする。But there is nothing...」

 

 

 

⭐️Detective

・更に場面はOfficeにドナルド・キンボールが尋ねてくるシーンへ進む。

・ポールの失踪について調べていると語る彼は、冗談を織り交ぜつつもパトリックから情報を引き出そうとする。「連絡を取り合いましょう、Mr.Patrick」

・探偵に疑われていると思ったパトリックは、不安に苛まれるようになる。「今年だけですでに航空機がらみの大事故が4件も…それから新しく使い始めたデオドラントのせいで発疹が出てる。72nd Streetの喋るATMがこんなことを言い出した。[Feed me a stray cat(野良猫を食べさせて)]。ゆうべ家で女を殺した!娼婦じゃない。俺はこの衝動をわかってても止めることができない….!俺は、捕まろうとしてるのか...」

 

・パトリックはこの土地から離れてハンプトンへ休暇へ行くこととする。エヴリンには結婚を匂わせて連れて行く。「君と真剣に向き合いたいと思って。」

 

 

 

M17🎵THE END OF AN ISLAND

・エヴリンの歌と共に場面はハンプトンへ。

 

 

 

⭐️Hamptons

・終始挙動不審なパトリックが描かれ、かつ挟まれるエヴリンとの会話はまともに成立していない。「New Yorkと仕事から切り離された俺はさらにおかしな感覚になっていく。彼らとは寸分違わず人間の特性を全て持ってるのに、はっきりした感覚がない。自分の縄張りを離れたのは間違いだったのか….」

・ハンプトンで聞こえてくる中身のない会話と、部屋に残してきた大量の死体が気になったパトリックは更に不安定になり、上半身裸で座り込んでしまう始末。「できれば今晩、ヘリでGo back New York.マンハッタンが俺を守ってくれる。」

 

 

M18🎵I AM BACK

・NYに戻ってきたパトリックが歌うナンバー。

・クリスティーン、サブリナとその他ダンサーにより曲中にパトリックはブリーフ一枚で血まみれに。『欠けてる、大事な何かが… I am back』

・「I remember 切断するサブリナの両足。溢れ出すその血を使って、ポールオーウェンの部屋に赤い手紙を書く。ABANDON ALL HOPE YE WHO ENTER HERE. ]ここへ入らんとするものは全ての希望を捨てよ。記憶の片隅に残っていた昔の言葉だ。」

 

 

 

M19🎵 YOU ARE WHAT YOU WEAR(REPRISE2)

・曲とともに場面はバーニーズニューヨークへ。そこでルイスと出会い、激しく求婚される。「I love you,パトリック」「わかったよルイス、納得した。さあ、現実に直面する勇気を持て!I DON’T LOVE YOU,I DON’T LOVE ANYONE!!!!!!!!!!!」

・ルイスはパトリックに襲われ、そのまま暗転しコートニーが現れる。ホモのルイスとの結婚を止めるパトリックに対し、「お願いだから、Don’t Call me again!!!!!!」

 

 

 

⭐️Jean

・パトリックは血まみれのブリーフ姿のまま突然Jeanが現れる。「パトリック!Is everything alright!?」「ジーン!Fine!なにも?問題ない。」「怒鳴ってましたよね…」

ジーンはパトリックの格好には言及せず話が進む。パトリックはジーンを食事に誘うが、ジーンもDorsiaを希望したことに落胆する。「そうか…キミもDorsiaに行きたいのか!!」

・Dorsiaに電話して満席と断られるも気にせず予約を取れたふりをするパトリック。そしてジーンに質問する。「その前に、ぼくの部屋でちょっと飲んで行かない?Would you like that?」「Yes,Sure…」「ジーン、今キミの部屋に誰かいたりする?妹さんとか。」「No, it’s just me.」「Perfect !さあ家に帰って着替えておいで、そうだな、何か特別な服に。Let’s make a special night.」

 

 

 

M20🎵A GIRL BEFORE

ジーンによるパトリックへの思いを歌うナンバー。

・曲中パトリックによりジーンはオフィス服から赤いドレスへと着替えさせられる。

 

 

 

⭐️CONFESSION(ジーン)

ジーンとパトリックによる会話が続く。「僕はユニークな人と意味のある関係を持ちたいと思ってる。」「わかります、だから人は人と一緒に生きて行くんですよね….」「人は自分を偽りながら環境に適応していくものだ」「あなたはそういう人じゃない、パトリック」「キミが大地や水、地球を見ている時、僕は果てしない砂漠の風景を見ている。理性も、光も、魂もない….」〜「…これまで誰かを幸せにしたいと思ったことはありますか?」「テッドバンディの最初の犬はカーリーで…」「Oh! Who’s Ted Bundy!?」「忘れてくれ、キミが…」「パトリック….私、あなたのことが好きなんだと思います!」

・突然の告白に固まるパトリック。長い沈黙の後に、「Why」「それはあなたが他人のことを気にかけているから。それって珍しいことだと思うんです、この快楽主義の世の中では….」「What else?」「あなたは優しいです、あなたの優しさはセクシーです!それにミステリアス。シャイな男の人ってロマンティックだと思うんです!!!!」「...俺が思うにキミはここを離れた方がいい。ジーン、You should go home.」「そんな..告白しなければよかった!?」「No,怖がらないで。But…ここにいいたら僕はキミを傷つけてしまう。」「あなたには…できない」「自分を制御できるとは思えない。キミは傷つけられたくないだろう?真実を語ろう。俺は他人を幸せにしたいなんてこれっぽっちも思ったことがない。自分自身でさえ。」

・震える手でキスしようとするジーンの手を掴むパトリック。「……..Go!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

⭐️CONFESSION(探偵)

ジーンがはけた後、パトリックの独白が続く。「パトリック・ベイトマンという概念がある。抽象的なものだ。本物の俺はいない、形だけ、ただ形だけ。」

・途中に探偵と話しているかのようなハイテンションの告白と、自分自身の独白を繰り返しながら場面は進む。「俺と握手して手の感触があったとしても、単純にそこに俺はいない。正直理解してもらうのは不可能に近い。俺は嘘みたいな異常者だ。」

・「俺の良心、俺の同情心、希望はとうの昔に消え失せてしまった。そもそもそんなものあるなら乗り越えるべき障害も障壁もない!リミッターが外れた….」

・「I am a pretty sick guy!!!!!! ドナルド・キンボール!俺を止めるべきだ、このメッセージを聞いたら….」

 

 

 

M21🎵CONFESSION (🎵Clean)

『But I'm clean… おれは clean  オレはもう きれい』

 

 

 

⭐️Office

・場面はオフィスへと切り替わり、ジーンと話すパトリック。それまでのパトリックとは一転、落ち着いて受け答えをするのが印象的。「Babyみたいにぐっすりだよ。悪夢も夢も何も…次に何が来ようとI’m ready.」〜「私の告白で気まずくなってないといいのですが」「いや、キミの告白でむしろ元気付けられた。」

・さらにジーンの働きに感謝し、昇進を打診する。「きみは昇進するべきだ。ずっと僕のたわごとに耐えてきたんだ。大切にされてほしい」

ジーンの手にキスし、ジーンは嬉しそうに退室する。するとプライスが現れ、パトリックがフィッシャーのアカウントを扱うことになったと明かす。「Hey!盛大にCelebrateしないとな!どうする、Tunnnelにするか、むかしのよしみで!」

 

 

 

M22🎵DON'T YOU WANT ME

・パトリックの昇進を喜ぶパーティで、エヴリンの左手薬指には指輪が。

・みんなが2次会に向かう中、パトリックは会場でドナルド・キンボールを見つける。

 

 

 

⭐️Fact

・ドナルド・キンボールに話しかけるパトリック。「あなたから何か連絡があるかと思ったんですが…」「連絡?」〜「僕のメッセージは聞いていただけました?留守電に残した、なんというか….とりとめのない告白」

・ドナルド・キンボールはメッセージの内容を信じていない様子。パトリックは信じてもらおうとするが、しかし…「実に面白かった!!〜俳優になれますよ!!」〜「全て事実です、いたぶりながら殺したんです、I killed Paul Owen.」〜「それは不可能なんです。」「Why!!?なぜ不可能!!?」「私が彼と食事したからですよ!彼が失踪したロンドンで!!」〜「彼は…生きてた?」「それはもういきいきと。」〜「But…娼婦たちは!?彼女たちの遺体は!壁の血は!ポールの家に行きましたか!!」「ちょうど今日、行ったばかりです。あなたは….」

 

 

 

⭐️Paul’s room

・ポールの部屋に行ったパトリックは、大量の死体や壁の血はおろか何もない部屋に絶望する。

・そこはやってきた不動産会社は、不審な動きのパトリックに忠告する。「お帰りになったほうがよろしいかと。」「死体は!壁の血は!」「面倒はごめんです。」「これは遊びじゃない!This is my life!!!!」「Don't make any trouble….Please don't come back here.」「来ませんよ、Don't worry.....」

 

 

 

M23🎵THIS IS NOT AN EXIT

・パトリックの絶望を歌うラストナンバー。曲中、エヴリンとの結婚式が開催されるが、パトリックは出席していない。ひとり舞台上段に立つパトリックを見つめているのはジーンとポールだけで、舞台下段ではパトリックなしで結婚式がつつがなく進んでゆく。

『どのドア開けても ここから出られない』

・「俺は27歳。living in New York City at the end of the century.そしてこれが俺にとってパトリック・ベイトマンであることの全ての意味だ。」

東京輪舞の感想と邪推

東京輪舞、3回観劇した感想を超えた邪推をぐだぐだと書き連ねてみたいと思います。観劇後の方向け。
※術中セリフはメモを取っていたわけではないのでニュアンスです

私が拝見したこちらの感想は非常にわかりやすく、更には原作にまで言及があるためまずこちらを読まれることをお勧めします。

https://nami7373.hatenablog.com/entry/2024/03/24/162419

こちらで正直完璧なのですが、もっともっと邪推してみたくなってしまいこの記事を書いています。

また、上記はシーンごとに分けられて感想が書かれていますが、わたしは逆に登場人物評的な感想の書き方にすることにしてみました。なのでシーンもあっち行ったりこっち行ったり。舞台のように、感想もぐるぐると踊ってみようと思います。


1.マカナ、カイト、マダム(ショウコ)

マカナって見た目からしてすでに圧倒的にヤバいなっていう。ピンクヘアー、タバコ、冬なのに太もも出してて、最初にくるみちゃんが舞台に出てきた瞬間一発で観客に「あ、この子、ヤバい子だろうな。」と分からせる力を持ってるし、一瞬でその世界観に引き摺り込むビジュアル。
でも、見た目でただのバカに見せておいて結構やってることは賢くてエグい。カイトをイケメン(だからむしろ私が積極的にヤリたい)と持ち上げておいて、先に性行為して逃げられなくして後から5000円請求する。さらにカイトが逃げてからは「ふざけんなよ、住所特定してやるからな!」と怒鳴って脅す。普通のお兄さんがやられたら縮み上がってしまいそうなカツアゲ紛いの行為です。

ここで突然マダム(ショウコ)との最終幕の話をしますが、そこで対比かのようにマカナがマダムに「私だけ住所特定されててヤバくない?」と言うところがあるのです。この「住所特定」って言葉を、一幕と最終幕でわざと全く同じ表現で使っている。

一幕の発言から、マカナは住所が人間の弱点になりうると分かってることは明らかです。しかしマカナはそれを気にせずいろんな人間を家にあげているような印象を受けます。一幕でも「明日生きていられるかなんて分からない」「(警察に)捕まえてほしいんだもん」と言い、最終幕でも「その時そこにいたから」という理由でいろんな人と刹那的な関係を結ぶマカナにとっては、住所など何の意味もなさないということなのかもしれません。

マダムとカイトの対比としてさらに面白いのは、パワーバランスの違いです。
マカナとカイトでは、カイトが明らかに上です。マカナがどれだけねだっても、名前は教えない、家にもあげないし、お金もあげない。「お兄さんも獣じゃん」って表現されてる通り、野生の嗅覚でマカナはヤバいと分かってる。

ところがマダムは、カイトに比べると圧倒的に脇が甘く、野生の嗅覚はほぼゼロ。
マカナに言われるがままに4万払い、ラインを教えることは嘘をついて断るのになぜか名刺は渡してしまうという愚行を繰り出します。しかもここで渡すのが「名刺」というのが本当に本当に痺れました。後で言及しますが、マダム(=ショウコ)はおそらくプライベートはほぼなく、人生のほとんどを社長業に捧げているように見えます。つまり「名刺」とは「ショウコの人生そのもの」に近いわけです。名刺に書かれている肩書きを失ってしまったら、ショウコには何が残るでしょうか?その全てを守るために必死になっている彼女が、九幕で涙を流す彼女が、自分が買ってしまった女に「いつでも頼ってね」と名刺(=弱点=住所)を渡すのです。

そしてその時の顔は、マカナが何度もウザいというような「お母さん」としての顔に見えます。
ショウコは劇中、ユウトという息子がいることはわかりますが、具体的な息子の描写は一切出てきません。母親としての生活が垣間見えるような表現はありません。おそらく、プライベートの「お母さん」のショウコでは、脆くてマカナの力にはなれない。けれど、社長としてなら力になれる。
そんなショウコの弱さと、更に後から売春の件でゆすられるかもとかは考えもつかず、純粋にマカナへの心配が勝っているのが感じ取れるシーンでとてもよかったです。

そして、この最終幕の新宿のマカナの部屋だけは独立したセットになっています。いままでの劇中は「とーきょー」と書かれまくった壁や、「RONDO」という文字を並び替えて、ずっといろんな部屋を再現してきたのに、です。
つまりあの部屋は、新宿にありながら「東京(現実)」から隔絶された優しい空間であるという暗示ではないでしょうか?
部屋のシーンの最初では工事の音は全く聞こえず、途中で突然工事の音が流れ、マダムはマカナと話し込んでいたことにハッと気がついて帰ろうとします。(その後もしばらく引き止められますが、その間も小さく工事の音が鳴り続けます。)
工事の音はつまり、マダムが戻らなければならない日常であり現実です。東京の中に組み込まれた一部分です。

本当のラストシーンで、ショウコは工事現場の人に「何すか?」と言われます。あれはつまり、ショウコがまた東京の日常に戻っていった表現だと思えました。

さらにいうなら、あの部屋のセットは実は最初の公衆トイレの裏側に作られており、思えば第一幕も「とーきょー」の壁と「RONDO」は出てこずに公衆トイレのセットがあるのみです。
「ご褒美」「贈り物」であるマカナが導く場所は、「現実からの逃避」が可能な場所なのかもしれないと思うと、オシャレすぎて倒れそうになります。

2.カイト、ジャスミン、マサ

カイトはある種一貫性を持って描かれている印象です。マカナとも寝るし、ジャスミンとも寝る。カイトは普通に女の敵というか、クズなんだけど、クズを隠そうとはしないクズ。カイトの言葉に嘘はないけど、その分全然重みもない。なんとなく耳障りは良いけど、多分女本人に対して興味もない。「俺金ないよ」「恋人いても良いよ」「それ(=好き)って許可が必要?」

第一幕で、カイトとマカナがキスした後に「アオーン」と遠吠えをするマカナを諌めるというシーンがあります。けれどジャスミンのシーンでラブホを後にする時はカイトが「アオーン」って言いながら去っていく。マカナもカイトも、獲物を捕らえた時に「アオーン」って言っているように思えるのです。

さてジャスミンはカイトを「元彼」と表現していましたが、カイト側の認識はどうでしょうか?
ジャスミンのいう「好き」とカイトのいう「好き」は全然重さが違って、カイトはLIKEだけど、ジャスミンはLOVE。
ただジャスミンも、カイトの人間性が好きとかそういう視点はない薄っぺらい愛なのです。自分を好きと言ってくれるから好きという感じで、カイトの中身まで見ようとする感じはありません。「男の人信用してない」と言う割に、一回寝てちょっと褒められただけで好きになってしまう。カイトに「好きになっても良い?」って聞くシーンでは、ついつい劇中になんでやねん!とツッコみたくなってしまう。

この恋愛は続かないだろうな、と思わせたまま舞台はマサとジャスミンの第三幕へと移ります。ジャスミンはもらった指輪をネックレスにして大切に仕事中でも身につけていて、カイトのことを語る時は幸せそうで嬉しそうです。第二幕では恋にひたむきで純粋に見えるジャスミンですが、第三幕ではまた違った見え方になります。

第三幕で、唐突に「AV出演」について追求され、マサに関係を強要されるジャスミンですが、性的関係の強要までの会話がジャスミンの人間像をより鮮明にしていきます。

前提として、ジャスミンはAVに納得した上で出演したでしょうか?自分から、稼いで故郷の父母にいい暮らしをさせてあげたい!と考えたのでしょうか?第三幕からはそのような印象は全く受けません。どちらかといえば、「騙されて」出演したように思えます。

マサはいわゆる「勝ち組」です。お金持ちの家に生まれて、本人の将来もほぼ約束されているのでしょう。マサの発言からは随所に「経済的負け組」に対する卑下が現れています。そしてマサはジャスミンに、明確に「お前は搾取される側だ」と何度も何度も表現を変えて言い続けます。

「たいていの人がつまらないと思うものはとても大事なものなんだ」
「うちの親はジャスミンのお父さんとお母さんが一月で稼ぐ額を5分で使い切る、そういう人間なんだ」

いくら雇用主(の息子)とはいえこんなことを言うべきではありませんが、このマサというもう観客の9割は嫌いだろうなという人間の描写が、これまたリアルでエグくてたまらないのです。

「騙されて」AVに出演し、雇用主に性的関係を「強要される」ジャスミンは、常に誰かから搾取され続ける弱者です。
ジャスミンが言う「人生は不平等だから、でも幸せは平等」というセリフは、一見非常に前向きに思われますが、実は人生に対する諦めを含み、搾取から逃れるために考えて行動することをやめてしまっているとも取れます。ジャスミンはおそらく第三幕の後も何度もマサから性的関係を強要されるでしょう。最終幕では、元彼のカイトはマカナと寝ており、さらにそのマカナと「六本木のお店」で働くことになっており、常に搾取され続けていることがわかります。自分の手にある幸せを溢すことなく大切にするためには、受け入れるだけではなく戦わなくてはいけない時もあると思うのです。

さて、最低男のマサはどんな人間でしょうか。マサはとても恵まれていますが、実は他人を「自分を彩るモノ」としか捉えることができない人間として描写されているように思えます。
ジャスミンにAV出演を追及するシーンで、マサは「ああ〜なんでモザイクってあるんだろう!」と言い放ちます。このセリフには一切の人間への尊厳が感じられず、
AVに出演している女の子を、完全にモノとして扱っているような、背筋が冷たくなるような恐怖を感じるのです。

マサにはジャスミンは人間には見えていません。
では、サヨはどうでしょう?
天文学的に好き」なサヨのことは、人間に見えているのでしょうか?

サヨが帰って、1人になった時に思わず溢れる「あのショウジサヨだぞ〜〜!!!」と言うセリフ。
このたった一言だけで、マサがサヨを口説いたセリフは全て色褪せ、「人妻の人気作家」という肩書きに惹かれているだけだとはっきりと分かってしまうのです。

3.サヨ、マサ、タツヒコ

サヨの話に移ります。
第四幕でのサヨのマサに対するセリフから、サヨの物の見方を窺い知ることができます。
印象的なのは、「この好きは友達の好きに留めておいたほうがいいと思うんだ」というもの。
このセリフはだいたい以下のように続きます。
「マサくんは私より稼いで、忙しくなるでしょ。そしたら私は絶対にさみしくなって、振り回されて、泣かされて、まるで自分が主体性を持っていない女であるかのような気持ちにさせられて (略) つまらない、すごくすごくつまらない、自分でもそのつまらなさに蓋をして、見なかったことにして、また誰かに依存して、つまらなさを上塗りして、傷つけて、傷つけられて、またただ終わる。そうなるくらいなら、友達のままの方がいいって思う世界線の自分もいる。」

私はこの長尺のセリフのラストで、"また"ただ終わる。と、なぜあえて"また"とつけたのかがとてもとても気になるのです。いまサヨが手にしているのは、新しいマサとの恋愛と、夫であるタツヒコとの恋愛です。始めるか悩んでいる恋愛を前にしたこの"また"という単語に、タツヒコとの恋愛の終わりを感じ取っているような気配がするのです。

第五幕で、タツヒコはサヨに「友達のパートは終わりで、新婚夫婦のパートが始まるってこと。」と言います。そしてサヨはそれを受け入れたにも関わらず、新婚夫婦のパートはいつのまにか終わりを告げ、第九幕では離婚していることがわかります。

サヨの中では、友達であれば「好き」は終わらず、恋人や夫婦であればいつか「好き」は終わってしまう。
その終わりはサヨ自身が相手に振り回されて主体性を失ってしまった時に起こり、その主体性を失う自分を"またか。"とどこか冷静に見つめているサヨが存在しているのだと思います。

タツヒコとサヨのパワーバランスは、一見するとサヨが上のようで実はサヨが下であることを暗示する描写が第五幕には散りばめられています。

第五幕の冒頭、サヨは遅く帰ったにも関わらずタツヒコは一切そのことに触れません。さらに、マサとラインしているのか会話の最中もずっとスマホをいじり続けるサヨにも全く気が付かないのです。

タツヒコは、「愛と性欲はできれば一緒の方がいい」と言い、「サラブレッド」のサヨとは違っていろんな環境で「愛が歪む」ことがあると言います。このシーンからは、まるでタツヒコはサヨとの結婚を「自分はノーマルな人間であると証明する」ための道具であるかのような印象を受けます。

タツヒコはサヨのことをずっと持ち上げています。「サヨはすごいよ、賢くて、魅力的で....」そして、サヨと意見がぶつかった時にもタツヒコは言いたい言葉をグッと飲み込んで引くのです。まるで、本当に心からは分かり合えないと思っているかのように..。

しかしサヨは自分をクズだと蔑むタツヒコに、「たっちゃんが私を選んで、私がたっちゃんを選んで、たっちゃんが私を愛し続けるかぎり、たっちゃんは優しい人だよ」というのです。サヨがタツヒコからの愛を疑い、愛し続けることを強制するかのようなセリフです。

そして2人は愛を確かめるかのようにセックスをして、暗転の中でサヨとタツヒコの印象的なやり取りへの場面は進んでいきます。

第四幕の最後で、サヨはマサに「大好き」と言ってキスして帰っていくのですが、第五幕の暗転後に「私が欲しい言葉を言って」とタツヒコにおねだりし、「大好き」と言われた際には「それじゃないんだよなぁ、欲しかった言葉は。」と言うのです。

これに気がついた時、もはや感動を通り越して劇中にも関わらずしばらく呆然としてしまいました。

サヨとタツヒコが始めようとしている新婚夫婦のパートは、すでに最初からすれ違っているように思えるのです。

友達のような関係であれば、終わりが来ることはないのでしょうが、新婚夫婦のパートではサヨが主体性を失った途端に終わりを迎えます。ここで更に、OR ENDというセットの文字が効いてきて、余韻を残したまま場面は第六幕へと進みます。

4.タツヒコ、マキ、チャム(オトナ)

第六幕ではガンギマリのタツヒコとマキのやり取りから始まります。
タツヒコがサヨと結婚した当初、新婚旅行でキメセクをしたことが第五幕で明かされますが、タツヒコにとってはサヨはすでにキメセクをしたい相手ではなく、マキを望んでいるということなのかもしれません。事実、マキとのセックスのあと、確かめるためにサヨとのセックスをするも満足できないことがマキの口から語られます。

クリスマスの予定を聞いて嫉妬したりと、タツヒコはマキを「必死に口説いてる」と言うのですが、マキはタツヒコの愛に関して非常に懐疑的です。「わたし」ではなく「わたしのペニス」が好きなんでしょうと言い放ちます。

タツヒコは以前にも「トランス男性のゲイ」と付き合っていたことを告白しますが、そのエピソードを聞いた時のマキの反応は、「身体が引き裂かれるほど辛かったんだね」という、マキのこれまでの人生の困難さを想像させるものです。

マキはタツヒコに何度も、「好きに呼んで欲しいの」と言うのが印象的です。クィアであるマキは、おそらくずっと自分の在り方について考え、悩み、生きてきたのでしょう。その結果として、タツヒコには「相手の望む」自分を提供しようとしています。

事実、第七幕でのオトナといるマキは、第六幕よりももっと人間らしく描かれています。

オトナはマキにとって「好きな人」であり、自分を理解してほしい存在です。タツヒコに対する何処か一歩引いた態度とはまるで違い、言いたいことを言っておかしいことはおかしいと言います。

そしてマキとオトナは、口論を繰り返しながらお互いの考えを知り、最終的には「アーティスト」としてマキは踊り、オトナは歌うことで理解を深めます。この時の2人の楽しそうな表情に、お互いを理解しあうことの幸福感が出ています。

そしてこの2人は、「セックスをしない」という決断をします。理由は、「わたしたちは、似過ぎてる。セックスって、違うからするんだね。」というもの。
確かに人間は、性行為なしでも分かり合える瞬間があり、そういう関係も存在するのだというメッセージが伝わってきます。

更にその後の第八幕では、「いらない」という曲のことをオトナが語る際、マキのことを「ワタヌキマキさん。恋人じゃないけど、大切な人なんだ」と優しい表情で言うのです。

5.オトナ、ジン、ショウコ

舞台は第八幕へと進みます。ここで描かれるオトナとジンの関係も、またとても難しいと思うのです。

オトナにとって、ジンはあくまで「憧れの存在」であり、「ジンさんを見てると歌が浮かんで来る」「舞台の上のジンさんを見て、ずっと抱きしめたかった」という発言からも「俳優としてのフクモトジン」を愛しているように見えます。何度ジンが話を変えても、何度でもジンの仕事の話へと戻ってしまうのです。

一方でジンは最初からオトナのことを「オト」と呼び、チャムという存在とは別に考えているような印象を受けます。

ジンがオトナのどこを好きになったのかはわかりませんが、オトナの「別にいいじゃん。僕が減るわけじゃないんだし。」「でも僕は変えてみせるよ。」「そんなのブロックしちゃえばいいんだよ」という発言からは、ずっと世間に隠してきた本来の自分を出すことへの恐怖を取り除いてくれるような前向きな力を感じます。

ただ、いつかジンはオトナが「俳優フクモトジン」の姿を見ていることに、今のショウコとの関係と同じように絶望してしまう気がするのですが、それは考えすぎでしょうか?

話の流れでショウコの話が出ると、「仕事の話はやめてって言ってるでしょ」というジン。

その後に第九幕で登場するショウコは、最初からジンを「使用人」「下僕」と呼んだりしています。いくら酔っているとはいえ、ジンのことを1人の人間としては扱っていません。

たしかにジンの「好きな人ができた」というセリフを受け、ショウコが心配するのは子供であるユウトのことを除いて全て仕事の内容であり、「商品としてのフクモトジン」のことだけです。事実、「人間が嫌いだから!」というショウコに対し、ジンが思わず「俺だって人間だよ!」と怒鳴ってしまうところからも、フクモトジンがずっと商品として扱われ、本当の自分を尊重されてこなかったことによる引き裂かれそうな苦しみが現れています。

その後のショウコの「公表するかは保留。全部全部保留。今は眠ろう、目の前の眠りを全うするの。」というセリフの後のジンの表情からも、自分の人生なのに自分でコントロールすることのできない苦しさ、自分の人生が自分のものではないかのような虚しさが伝わってきます。

そしてついに最終幕へ。
マカナとショウコが登場し、「輪舞」ってそういうことか!と観客を驚かせて舞台はフィナーレを迎えます。

最後に

非常に長くなりましたが、東京輪舞の一個人の邪推をダラダラと書いてみました。
間違っていることだらけでしょうが、わたしはこういう受け取り方をしたよ、という意味で残しておきたいと思ったので文字にしておきます。

創作物というのは、受け取り手によって全く異なる解釈がなされて、それがもし作り手とは違ったとしても、それはそれでいいんじゃないかな?と思うからです。

最後に、この舞台に髙木くんを通じて巡り合わせてくれたカンパニーの皆さんに感謝します。そして、髙木くんお誕生日おめでとう。素敵な34歳にしてください。